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全員参加の人材開発
 今年最初のワンポイントアドバイスです。
 本年もよろしくお願いいたします。

 さて早くも1月も半分終わってしまいましたが、皆さんは新しい年をどのよ
うにスタートされたでしょうか?景気が回復基調にあるのか(個人的にはあま
り実感しておりませんが)、人材開発の現場でも採用を強化したい!人材育成
を強化したい!という話題が増えているようです。

 私もいくつか新たに中堅・中小企業の経営者や人事責任者の方から、人材育
成に関する相談を受ける機会がありました。「人材育成を強化したいが、どう
すればいいか?」という話題から始まることが多いわけですが、社員数が少な
い企業であればあるほど、少し視点を変えることをお勧めしています。

 視点を変えるというのは「育てる→育つ」、「全体→個」という少し違う角
度から、現状を分析し、課題を抽出し、解決策を策定すること意味しています。
個人的な意見ではありますが、人材は「育てるもの」というより、「育つもの」
だと考えています。相談にお越しになる経営者や人事責任者の方々は「育てる
ためにどうしようか」という視点で考えていますが、「育つためにどうしたら
よいか」という視点が不足していることが多いようです。経営者や人事担当者
が主役となって育てるのではなく、個々のメンバーが主役になって育つことが
より大事だと言えます。

 また、人材という大きな括りで考えるだけでなく、単純ではありますが“個”
に焦点を当て、具体策を考えることも必要だと言えます。たとえば「わが社の
管理者をどう育成するか」を考えることも必要ではありますが、「現在○○部
門の管理者であるAさんがより管理者として成長するために何が必要か?」を
考える方が、たくさんの具体的なアイデアが生まれてきます。そうすれば、人
材育成=研修ではなく、より多くの仕事を担当させる、より難易度が高い仕事
を担当させるなど、様々な機会が提供できると言えます。

 働く人々の価値観が多様化し、“働くことに対するやる気”の源泉も多様化
している時代においては、“個”に焦点を当てて、育てる方法論だけでなく、
育つ環境(組織)づくりを考えることが必要です。また経営者や人事責任者だ
けが人材育成を考えるのではでなく、あらゆる人々が参加して“個々の成長”
について智恵を出し合うことも必要です。

 恐らく今後は、人材開発を誰かが業務の一つとして考える会社(組織)より
も、人材開発を考える人材が多い会社(組織)が、競争力が高い会社(組織)
になるように思われます。全員参加型の経営=全員が人材ことについて考えて
いる会社(組織)であると言えます。人材開発に対してより多くのメンバーが
参加するためには、どうすればいいか、今後の人材開発部門の大きなテーマに
なるのではないでしょうか?


             (2006/01/16 人材開発メールニュース第367号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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