Back Number

明るい未来を築く人材開発
 今年最後のワンポイント・アドバイスです。1年間ありがとうございました。
人材開発分野で今年を1年を振り返ると、やはり「2007年問題」に関わる内容
が多かったような感じを受けます。技能継承の問題、改正高年齢者雇用安定法
に基づいた継続雇用制度の導入、生産人口減少への対応など、以前から唱えら
れていた課題でありましたが、ここにきて急激に企業側の対応スピードが加速
したような印象を受けます。

 先日、平成17年の人口動態統計の年間推計が発表され、ついに日本の人口が
自然減となる見通しとなったことが発表されました。予測よりも2年早く「人
口減少社会」を迎える可能性が高くなったわけですが、これからは益々「人口
が減少していく」と言う前提で企業経営や人材開発のあり方を考える必要があ
ります。

 企業も社会環境に適応しながら、競争しながら持続・成長する生命体です。
企業の社会的責任も含め、ゴーイング・コンサーン(継続企業)という概念が
今後益々重要になるように思えます。昨今、多発している企業不祥事を観ても、
「自分・自部門・自社だけ」「今だけ」という短絡的な発想では、経営が成り
立たず、継続企業としての各企業の生き様(在り様)が問われ始めていると思
われます。人材開発の分野においても同様で、各企業が社会に適応するための
生き様(在り様)を示すことができる人材の育成が求められているように思わ
れます。

 人材開発の現場においても「競争力を高める」「競争力を高める人材を育成
したい」という言葉がよく使用されていますが、そもそも、何故競争するのか、
何と競争するのかを再定義する必要もあるように思われます。前述の通り「自
分・自部門・自社だけ」「今だけ」という競争では、将来の見通しが立たなっ
ているのではないでしょうか。

 明るい未来を築くためには、大局観を持てる人材が必要になると思われます。
「仕事だけ」「自社だけ」「日本だけ」という視点ではなく、「仕事と暮らし」
「自社と社会」「日本と世界」というより大きな視野から、自らの立ち位置を
考えることができる人材の育成が必要になってくると思われます。より大きな
視野を持つことと、短期的な業績とリンクさせることは相反することかもしれ
ません。その領域に人材開発投資をするか否かは、経営の意思決定が必要です。
「どこまでやるか」「どのようにやるか」こそ、経営=意思決定であると言え
ます。経営=意思決定を促すための人材開発部門・人材開発担当者の役割は、
益々重要になってくると思われます。

 私も、人材開発に携わる一員として、絶えず大局的な視点から自らの立ち位
置を見つめながら、明るい未来を築く(明るい未来を提案できる)ための人材
開発をこれからも追求して行きたいと考えております。
 今後ともご愛顧の程、よろしくお願いいたします。それでは、良いお年を!


             (2005/12/26 人材開発メールニュース第365号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page