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人事・賃金システムの根幹=Pay for 〜
 このところ「2007年問題」や「高年齢者の雇用延長」に関する情報が急激に
増えています。特に高齢者の雇用延長と賃金に関する話題は、非常に関心の高
いテーマになっているように思われます。高齢者の雇用延長に限ったことでは
ありませんが、人事制度とくに賃金システムについては、見直しの機運が高ま
っているところが多いようです。
 私も色々と相談を受ける機会がありますが、社内で人事制度に対する不満が
高い会社(特に中小企業)では、「何に対して賃金を支払うのか」という基本
的な部分が、はっきり示されていなかったり、社内で共有されていないところ
が多いようです。

 「何に対して賃金を支払うのか」は、一般的には「Pay for 〜」という表現
がされますが、「〜」をどうか考えるかによって、制度・システム(手段)は
大きく異なってきます。例えば、この10年で急速に広まった成果主義は、一般
的に「Pay for performance」という考え方に基づいています。一見分かりや
すいようですが、「performance」に対する共通認識がなければ、当然円滑に
運用されることは望めません。
 わが社における「performance」とは何かという議論を踏まえ、分かりやすい
形で社内に提示され、共有されることが必要になります。

 もっと言えば、本当に「パフォーマンス」でなければいけないのかどうかも、
議論されるべきです。私がお手伝いしている企業の中には、わが社では「パフ
ォーマンス」ではなく、「責任=accountability」の方がわかりやすい、責任
が大きい人がより多くの報酬をもらえるような仕組みにしようという議論が交
わされているところもあります。
 いずれにしても、賃金システムの根幹をなす「Pay for 〜」の「〜」に何を
置くかは、各企業の思想や“らしさ”が反映されると言えます。できるだけ抽
象的な表現ではなくて、社員にわかりやすい、共感を得やすい形での提示が必
要です。

 賃金システムの作成・改定の際に、特に中堅・中小企業においては、方法論
から入ることが多いようですが、今一度基本的な理念・思想を確認することも
必要ではないでしょうか?中堅・中小企業だからこそできる「Pay for 〜」が
存在するような気がします。「〜」については、普遍的なものでなく、時代・
環境に応じて変化させることも必要だと思います。大企業にない独自性を持っ
た「Pay for 〜」を打ち出すことも、企業競争力を高める大きな要因になると
言えます。
 読者のみなさんの会社では、「Pay for 〜」ですか?


             (2005/10/31 人材開発メールニュース第357号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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