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ラーニング・マネジメント
 皆さんは「ラーニング・マネジメント」という言葉をご存知ですか?
 別に深い意味は無く、その名の通りラーニング(学習)をマネジメントする
と言う意味ですが、最近私の周りでは、「組織としてラーニング・マネジメン
トができているか」「管理者がラーニング・マネジメントができているか」と
言うような会話が飛び交っております。

 人材開発の現場において部下育成は、いつも重要なテーマとして挙げられま
すが、これまではどちらかと言うと、いかに部下を育成“させるか”が話題と
なることが多かったような気がします。換言すると、上司が部下をいかに育成
するか=トレーニング(上司が部下に教える)という思想が強かったように思
われます。
 言い古されたことではありますが、これだけ環境変化が激しい時代において
は、絶えず新しい知識を創造していかなければ、変化に対応することが難しく
なっています。上司がこれまで培ってきた経験・知識を部下に教えていくだけ
では、変化への対応が不十分であるとも言えます。
 またITの発達と共に、個人レベルの情報や知識の入手経路が多様化する時
代においては、部分的には上司よりも部下の方が新しい情報や知識を保有して
いることも少なくありません。上司・部下に限ったことではありませんが、組
織を構成するメンバー個々人が保有する智恵を「個々の智」ではなく、「組織
の智」として引き出し、活用することが求められていると言えます。

 そのためには、部下育成の場面においても、上司が主体となりトレーニング
するだけでなく、部下が主体的にラーニングする環境をいかにつくり出すかが
重要になっています。勿論、部下に限ったことでなく、メンバー全員が主体的
にラーニングすることで、個々のパワーアップを図り、それを組織のパワーア
ップにつなげていくことが求められていると言えます。管理者(リーダー)に
求められる考え方としては、「トレーニング主体」から「ラーニングとトレー
ニングの融合」「組織としての智の総量をいかに高めていくか」ということに
あると思われます。

 冒頭の「ラーニング・マネジメント」は、組織を統括する管理者(リーダー)
が、組織を構成するメンバー個々人の学習についてP→D→Cサイクルを回し
ているか、組織全体としてラーニングというテーマに対してP→D→Cサイク
ルを回しているか、という意味で使われているわけですが、そのためには何よ
りも管理者(リーダー)が率先垂範しているかがポイントになります。範を示
すのは、これまでの経験・知識だけでなく、自らのラーニング・マネジメント
のあり方とも言えるような気がします。
 読者の皆さんの周りでは、いかがですか?


             (2004/11/08 人材開発メールニュース第309号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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