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研修企画する際のヒアリングポイント
 最近人材開発サービスを提供する企業から若手社員の勉強会の講師を依頼さ
れました。受講者である彼らから、「企業から研修企画の依頼があった場合、
どのような情報収集をしていますか?」と質問が出ました。私もたくさんでは
ありませんが、毎月数本は企業の社内研修の企画を行っています。企画する場
合の情報収集の進め方は色々あると思われますが、私なりの進め方を紹介した
いと思います。
(特別なことでなく、当たり前のことばかりですが、質問した彼らは非常に?
真剣に聞いていましたので、参考になれば幸いです?)

 私に研修企画を依頼される場合は、「今度こんな研修をやりたいんですが…」
というような感じで依頼が入ってきます。その場合、最初にやることは研修の
話題が出てきた背景、なぜその研修を実施しようとしているのか「研修企画の
背景・目的」を明らかにすることからスタートします。

 特に最初のヒアリングに関しましては、研修のことよりも、むしろ依頼いた
だいたクライアントである企業、また事業の業績や動向のヒアリングに時間を
かけます。経営・事業課題と結びついた緊急度・重要度を反映した研修テーマ
であるかどうかを確認するためです。
 もう少し具体的に言えば、経営側にとって納得度が高い研修テーマであるか
どうか(研修投資してみたいテーマであるか)、その次に想定される受講者に
とって納得度が高いテーマであるかどうか(参加意欲が沸く研修テーマである
か)を確認していきます。経営サイドまた受講者サイド両方の視点で考えると、
研修を進める上での留意点なども明らかになってきます。このような形で研修
のミッションを明確にしていきます。

 次に、研修内容そのもの関するヒアリングを行います。依頼される企業側で
すでにイメージしている場合もありますので、冒頭の「こんな研修をやりたい」
というイメージを徹底的にヒアリングします。また企業側であまりイメージを
持っていない場合もありますので、その場合は想定される研修対象者の具体的
な言動に関してヒアリングを行います。

 恐らく研修を実施しようと言う背景には、「こうあるべきだ、こうあって欲
しい」という期待と「現在はこうだ、こういうレベルだ」という現状、期待と
現状のギャップが課題という形で存在しているはずです。特に想定される研修
対象者に対する期待と現状、期待される言動と、実際の言動をできるだけ日常
会話レベルで拾い上げていくようにしています。「あの人が、こんな場面でこ
んなことを言った」など、たくさんの具体例を拾い上げる中でまた新たに見え
る課題も存在します。

 上記のようなヒアリングを行った上で、具体的な研修プログラムの設計に入
るわけですが、どんなものをやるかというのはこれはケースバイケースです。
ただ絶えず、ヒアリングした「ミッションの確認」と「具体的な言動レベルで
の期待と現状」と照らし合わせて進めているような感じです。

 このコラムでも頻繁に書いておりますが、「研修を実施したい」という場面
では、すでに研修を実施することが当たり前になっていたり、目的となってい
ることも少なくありません。研修は目的ではなく経営課題を解決するための手
段であります。研修を実施することよりも、研修を企画する前、また実施した
後で課題を振り返ることが一番大事ではないでしょうか?


             (2004/05/17 人材開発メールニュース第285号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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