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新入社員と職場の活性化
 さて先日、社会経済生産性本部「職業のあり方研究会」から今年の新入社員
タイプ命名が発表されました。今年の新入社員は「ネットオークション型」…
ネット上で取引が始まり、良いものは人気が殺到しさっさと売れる一方で、P
R不足による売れ残りも多数。一方で、ブランド名やアピールに釣られて高値
で落札したものの、入手後にアテが外れるものもある─ということですが、皆
さんの周りの新入社員はいかがですか?

 新入社員については色々と言われますが、やはり新人が入ってくると活気が
出ますね。誰でも最初は会社・仕事に対して多くの期待を持って入社するため
彼らの持つ前向きな気持ちが、周りに明るさや元気を与えてくれます。
 このコラムでもよく書いていますが、最近の新入社員は、厳しい就職環境を
潜り抜けてきたこともあり、優秀だと言われる企業が多くなっています。私が
採用や研修を担当させていただいている企業でもそうですが、物分りがよく、
環境・周囲への順応性は非常に高いと思われます。研修でグループ討議などを
やっていても感じることですが、意見をまとめる、集約するのは上手く、反面、
議論を交わすことよりも効率的に答えを見つけることを重視する傾向が強いよ
うに思われます。討議内容の発表についても非常にスマートに行いますが、少
し見方を変えれば、当り障りの無い表現が多く、あまり自分の意見や気持ちを
表現することが無いようにも見受けられます。

 最近の新入社員は、元気で明るく優秀だと言われる一方で、すぐに辞めてし
まうことが多いのも最近の人材開発の大きな課題の一つです。企業の人材開発
担当者からよく聞くことですが、若手で辞める人の特徴として少し元気が無い
と思っていると、途端に退職したいと言ってくるケースが多いと言われます。
計った訳ではありませんが、会社を辞めようかなぁと思い始めてから辞めると
いう行動に移すまでの時間が短くなっているという感じも受けます。
 物分りのいい?最近の新人は、環境・周囲へのアンテナを張り巡らせ、情報
を絶えず収集していますが、一旦オーバーフローすると急に何も受け付けなく
なる、修理不可能になるという感じでしょうか?急に落ち込んで黙ってしまっ
たり、全く反応しなくなったりするようなケースも多いようです。上手く情報
を処理しているように見えますが、わからないことはあまり聞かずに、意味・
目的を理解することなく、やり方だけを周囲を見て合わせているだけかもしれ
ません。わからない、困っているという信号を発信することが不足しているの
かもしれませんし、一度発信してもそれを受け取ってもらえないと認識すると
再度発信することは諦めてしまうような感じも受けます。

 明るく、元気のいい社員の採用・育成は間違いなく組織に活力をもたらして
くれます。彼らを早く戦力することも勿論大事ですが、職場の活性化や前向き
に戦う組織をつくるために必要なのは、新入社員をどう戦力化するかではなく、
新入社員の持つ前向きな気持ち、明るさをどうしたら維持できるかを考えるこ
とかもしれませんね。


             (2004/04/12 人材開発メールニュース第281号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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