Back Number 意志決定のゴミ箱モデル 私も色々会議に出席させていただくことがありますが、読者の皆さんは、結 論がなかなか出ない−「煮詰まった?会議」と言う場面に遭遇したことはあり ませんか?意見が出すぎる、逆に突然出なくなるなど、結論が出ずに会議が長 くなればなるほど、「何でこんな会議してるんだろうか」と思うのは私だけで しょうか? 会議は問題解決の場であり、最近は「会議の生産性」ということも人材開発 のテーマとして扱われることも増えているようですが、日頃皆さんは出席され る会議に満足していますか? 会議=組織における意思決定に関するメカニズムに関する理論の一つとして 「ゴミ箱モデル」というものがあります。ゴミ箱モデルとは、1970年代にアメ リカのマーチ、コーエン、オルセンが提唱したものです。人材開発に携わって いますと、KT法に代表されるような合理的(規範的)な意思決定については よく話題となりますが、「ゴミ箱モデル」は、実際に行われる意思決定は合理 的(規範的)なプロセスを踏んでいないという対極的な理論です。 ゴミ箱モデルは、色々な解釈の仕方があるようですが、基本的には意思決定 の要素として「選択機会(会議の場)」「参加者」「解」「問題」の4つを指 摘しています。集団における意思決定を行う場合、会議も回数を分けて実施す ると状況も変わります、また時間と共に参加者の考え方も変わり、問題の捉え 方も変わります。意思決定を行う場面は、まるでゴミ箱のようにたえず色々な モノが出たり入ったりして、最終的に期限になったときの状況で意思決定が行 われる。集団における意思決定は、必然的に生み出されるものではなく、4つ の要素が偶然に結びついた結果でしかないという考え方です。 集団で意思決定を行う場面では、時間をかければかけるほど、複雑な問題点 が新たに発生したり、時間が経過するほど、問題そのものや判断する基準が曖 昧になります。参加したメンバー全員が納得できる解を探すことを重視すると、 そのプロセスの中で大事な問題点が抜け落ちたり飛ばされたりする傾向が強く なり、失敗することが増えてきます。 意思決定に時間をかけない、何回も話し合い完璧な答えを探すことよりも、 ある程度の段階で「いい加減でも?」意思決定をして、まずやってみる。その 中で再度情報を収集しまた意思決定を行う。結論を出すことに時間をかけるこ とよりも、仮説−検証を繰り返していくことが大事だとゴミ箱モデルでは指摘 しています。 特に環境変化のスピードが激しい現代においては、全員が納得するベストな 答え(そもそも全員が納得すること自体がベストな答えかどうかもわかりませ んが)を探すプロセスよりも、行動しながら最適な解を導き出す方が、合理的 なことも多いと言えます。意思決定のプロセスを軽視するわけではありません が、会議の生産性(アウトプット/インプット)という視点で考えれば、ゴミ 箱モデルも様々な場面で活用できると言えます。 (2004/02/09 人材開発メールニュース第272号掲載) WISEPROJECT:吉次 潤 Go to Back Number Index Go to Top Page |