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人事管理から人材活用へ
 今年最初のワンポイントアドバイスです。
 本年もよろしくお願いいたします。

 さて、年が明けて年始の挨拶もかねて、いくつかの企業の経営者の方とお話
する機会がありました。一般的には雇用環境は悪いと言われておりますが、経
営トップの話を伺うと人材が不足している、これからは(これからも?)人材
育成が大切だとという話題が必ず出てきます。またその一方で、なかなか具体
的な人材育成プランの話題があまり出てこなかったのも、多くの企業で言われ
ている人材育成の閉塞感につながっているような気がします。

 各企業ごとに状況は異なりますが、正直なところ、人材育成の特効薬は無い
ような気がします。ただこの閉塞感を打ち破る一つのキーワードとして、「人
事管理から人材活用への発想の転換」が必要であると思われます。管理・コン
トロールすることから、活用・引き出すことへ、以前から言われていることで
はありますが、どこまで本気で取り組んでいる企業・経営者が存在するかは…
???みなさんの周りはどうでしょうか?

 人材育成の話題になると、何をしようか、どんなプログラムでという方法論
に焦点があたり、もう少し話が進むと効果が見込めるかという話題になる傾向
が多くなります。効果が見込めないからやらない、というのもわかるのですが、
結局最初のミッションは?という堂堂巡りに陥っていることも多いのではない
でしょうか?
 人材育成のために何を行うかも大事なテーマですが、プログラムが人を変え
るというよりも、日々働く環境が人を変えていくことが多いように思われます。
もっと人的資源を有効に活用する、人的資源を引き出すために環境を整備する
取り組みが必要だと思われます。

 環境変化が激しい現在、知識・スキルの変化するスピードも非常に早くなっ
ています。教えるだけでは、追いつかないと言われています。教えるだけでは
なく、人が育つ環境を整備することが要求されています。業績管理や目標管理、
人材を育成するために導入した制度が、いつのまにか管理(意欲や行動を制限
する)ツールになっているケースも多いようです。育成・評価・処遇、今一度
枠を外して考えることも必要かもしれません。経営トップ・ミドルの立場にあ
る方、事業や日々の業務を推進していくリーダーのうち一人でも多くの方が、
人事管理ではなく人材活用を真剣に考え、意識・行動を転換できた企業が、こ
れからの成長企業になると言えるでしょう。


             (2004/01/13 人材開発メールニュース第268号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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