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個人のキャリア形成と人材開発部門の役割
 今年最後のワンポイントアドバイスとなりました。少し早いような気もしま
すが、皆さんにとっては、どんな一年だったでしょうか。

 毎週このメルマガの中で、いくつかの人材開発関連のニュースを紹介してお
りますが、今年はキャリアをテーマにしたニュースが例年以上に多かったよう
な気がします。企業と個人と言う見方が適切かどうかはわかりませんが、どち
らかというと個人側の視点に立った“自律的な”キャリア意識、キャリア開発
の必要性を訴えるものが多かったような気がします。

 たしかに自立した人材は必要であると言えますし、自立した人材には、自ら
のキャリアを、自らの意志で、自らの責任で開発していくことが必要であると
考えられます。ただ、個人的には、キャリアを意識することや開発することに
対して、個人サイドに寄り過ぎているような感じも受けます。個人の責任でも
あることは間違いありませんが、どちらか一方に寄り過ぎることなく、個人も
企業(経営)も双方ともに責任を持って開発し、共に成長するという試みをも
っともっと仕掛けて行くことも必要であると言えます。

 経済が好転する兆しは見え難い状況ではありますが、その中で積極的な経営
を行っている企業が存在するのも事実です。積極的に事業を展開していく、事
業に必要な人材と言う観点から考えれば、どこも不足していると言う声が圧倒
的に多いようです。労働市場がより流動化し、中途採用が以前に比べ活発化す
る中で、即戦力・経験者のニーズは高まっていますが、その反面労働力人口が
減少していくこれからのことを考えれば、ニーズの高まりと相反して即戦力・
経験者は減少傾向が続くことが予想されます。
 即戦力の外部調達だけでなく、事業を推進していくための人材の開発と内部
留保を確実に高めていかなければこれからの企業成長は考え難くなると言えま
す。

 事業に必要な人材の調達・開発・留保をバランスよく確実に行う、また人材
の調達・開発・留保に関する情報を経営サイドに的確に提供していくことが人
材開発部門に要求される大きな役割であると考えられます。経営環境が厳しい
時代であればこそ、事業に必要な人材が集まる仕組みを構築できた企業だけが
成長を約束されると言えます。
 個人サイドの能力開発に関する話題が多い昨今ではありますが、個人のキャ
リアを経営にどのように取り込んでいくか、企業経営における人材開発、人材
マネジメントは重要になると思われます。

 毎年同じことを書いているように思えますが、人材開発に関する情報提供を
これからも継続していく予定です。今後ともご愛顧の程、よろしくお願いいた
します。それでは、皆様良いお年を!


             (2003/12/22 人材開発メールニュース第266号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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