Back Number

見た目の優しさ
 皆さんは、厳しい上司と優しい上司のどちらが好きですか?
 「厳しい」、「優しい」の意味も様々あると思われますが、人に対する接し
方(=アプローチ方法)として「厳しい」タイプの方、「優しい」タイプの方
が存在するように思えます。一般的にはアプローチ方法で「優しい」上司を希
望する人が多いように思えますが、見た目の優しさと本質的な優しさは少し違
う場合もあります。

 上司−部下の関係に限ったことでありませんが、誰かが誰かに何かを教える
場合、教える側の見方として教える相手を「できる」という前提でスタートす
る場合と「できない」という前提でスタートする場合があります。「できる」
前提で育成する方は、どちらかと言えば厳しいアプローチになるケースが多い
ようです。一方、「できない」前提で育成する方は、どちらかと言えば「優し
い」アプローチをとる方が多いようです。(「できない」前提で厳しく接する
のは、ただの“いじめ”です。そういう人も中にはいますが…)

 最近の管理者には、後者、アプローチとしては「優しさ」を持っているが、
「できない」前提でスタートする人が増えていると言われます。誰に対しても
差し障り無く接したり、「できない」前提で育成をを進めるため、任せない、
やらせない、チーム中の失敗を極力減らすことに注力する方が増えているよう
です。もしかしたら優しいアプローチは相手に対して期待していない現われで
あるかもしれません。

 別に厳しさを奨励しているわけではありませんが、見た目の優しさではなく
本質的な「優しさ」を見直す必要があるように思われます。育成の場面におい
て、本質的な部分で「相手の成長を願って…」「相手の成長を期待して…」と
いう意志がより大事であると思われます。アプローチが優しい・厳しいと言う
のは、方法論や個人のパーソナリティであり、実際はさほど気にすることもな
いように思われます。
 教える方は、どのようなアプローチを選ぶにしろ、本質的な部分を伝える努
力が必要です。逆に教わる方は、見た目のアプローチにとらわれずに、絶えず
自分に対する期待は何かと言うことを自問自答することも必要です。

 OJTに限ったことではありませんが、本質的なコミュニケーションが不足
している現場では、言葉が足りずにお互いに誤解したり、勝手な思い込みで、
業務が円滑に進んでいないケースも多いようです。
 皆さんの周りでは、見た目だけ優しい方、いらっしゃいませんか?


             (2003/09/16 人材開発メールニュース第252号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page