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無くて七癖
 先日ある若手のコンサルティング会社の方と意見交換をした時の話です。彼とは
知り合って半年ぐらいで、最初はメールでの情報交換からスタートしたわけですが、
彼の意見や考え方には非常に共感できる部分があり、一度お互いに時間をつくって
じっくり話そうということになりました。実際会ってみると、やはりメールのイメ
ージ通りで、彼の意見には共感できる内容が多く、色んな話で盛り上がっていまし
た。
 ただ彼との会話の中で一つ気になることがありました。彼は、こちらの話を聞い
ている時に相槌をいれてくるわけですが、やたらと「うん」と連発してきます。さ
ほど気にすることでもないとも言えますが、結構真面目な内容の話をしている時に
「うん」を連発されると、なんとなく軽く聞かれているようで、調子が抜けるよう
な感じを受けました。

 一通り話題が盛り上がった後で、彼に思い切って「いつもそんな風にクライアン
トと話してるの?」と聞いてみました。最初、彼は何を質問されているか、わから
なかったようですが、逆に彼が質問してきました。「僕の話し方、何か変ですか?
たまにクライアントから怪訝そうな表情をされることがあるんですよね。」そこで、
さきほどの会話で、自分が受けた印象を話しました。そうすると彼は、「初めてそ
んなこと言われました。でもそう言われると、これまで幾度も思い当たる節があり
ます。」と言って、これまでのいくつかのエピソードについて話してくれました。

 彼は、大学卒業後、今のコンサルティング会社に入社し、業務に関するトレーニ
ングや実際に経験を積む中で、業務に関する知識・スキルを身に付けてきたと思い
ます。またプレゼンテーションなど話し方についてもある程度トレーニングを受け、
業務の進める上での話し方については色々と指導を受けていたようです。しかし、
業務に関係無い普通の会話での印象などについて意見されること、指導されること
は無かったようで、多少面食らっていたようでした。

 コミュニケーションを考える上で、勿論会話の中身も重要ですが、癖や仕草など
含めたコミュニケーションスタイルは人それぞれ固有のスタイルがあるように思え
ます。同じことを言われても、聞く側からすれば理解度、納得度が異なってくるの
は、話す内容だけでなく、話す人全体のコミュニケーションスタイルに起因するよ
うに思われます。彼のように折角いい話をしていても、癖や仕草によって十分伝え
きれない、誤解を受ける、印象を悪くするケースも多々あるように思えます。

 「無くて七癖」と言われるように人それぞれコミュニケーションスタイルは異な
ります。相手との良好な関係を構築するためには自分自身のコミュニケーションス
タイルを知っておくことも非常に大事です。周りの反応や周りから意見を求めるこ
とで、自分がどのように相手に映っているかを確認する場面を積極的につくること
も必要です。みなさんは自分の癖をどのぐらい理解していますか?
 そういう私も、会話をしている時によく指摘される癖があります。これも以前身
近な人から指摘されたことですが、意識するようにしても、ついつい出てしまうの
で、最近は自分の方からカミングアウト(こんな癖がありますと先にお話する)こ
ともあります。どんな癖かは書きませんが会った時に気づいた方は是非指摘してく
ださい。


             (2003/08/18 人材開発メールニュース第248号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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