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目標管理制度〜目標設定の重要性
  先日、30歳前後のビジネスマン数人と話している中で、「嫌いな上司」という話
題が出ました。その中で「評価マン」?という上司は嫌いだという意見が数人から
出されました。「評価マン」とは、評価するだけ上司、途中のアドバイスはなく、
業績や結果に対してだけコメントする上司のことを言っているようでした。もう少
し言えば、日頃はどちらかというと優しい?優しいというよりも叱らない、叱れな
い、あまり上司という感覚もなく接している割には、評価のときだけ厳しい上司に
豹変する人も少なくないようです。

 評価される側からすれば、何を考えているかわからないということもあれば、日
頃は何も言われないので良いと思ってやっていたことが、評価の段階で初めて上司
の考えていることと違ったことに気が付いたという意見もありました。当然そうい
う人は、もっとちゃんと言ってくれればいいのに…とも言ってましたが。

 現在様々な企業で目標管理制度などが導入されているものの、運用の仕方はまち
まちで、いたるところで目標管理制度に関する相談や意見を聞く機会があります。
評価する側、評価される側それぞれに意見があるようですが、どんな制度を構築し
たとしても、評価する側される側、共に考え方をしっかり理解して運用していかな
ければ、前述のような制度の形骸化が進んでしまいます。

 目標管理制度について何らかの相談があるときに、私が一番最初にヒアリングす
ることは目標を設定するプロセスの部分です。目標設定が上司、部下ともに本音レ
ベルでどれだけ共有化されているか、またお互いに思い入れ(コミットメント)が
あるかという部分に注目します。当然のことながら、やらされている制度であれば
うまく運用はできません。

 目標設定を丁寧にやると、自然と制度の思想的な部分も組織全体に伝わっていき
ます。本来的な目標管理制度の運用…評価だけでなく育成という視点で考えれば、
ますます目標設定のプロセスが大事になってきます。
 よく言われることですが、目標が明確になっているばあいとそうでない場合は育
成のスピードが全く異なります。目標管理制度は評価ではなく育成のプロセスと言
われていますが、実際の現場では、評価だけに関心が向いている場合も少なくあり
ません。

 目標管理制度を見直すためにまずは目標を設定する部分にどの程度時間をかけて
いるか、また設定の仕方を組織全体で十分に理解しているかを見直すことで現在の
目標管理制度の問題点も色々見えてくるのではないでしょうか。


             (2003/06/16 人材開発メールニュース第240号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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