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異なる価値観との協調努力
 いつものワンポイントアドバイスとは少し趣が変わりますが、対イラクの対する
武力行使が始まってしまいました。TV、ネット上から流れてくるニュースを見て、
何とも言えない気持ちになってしまいます。今回の戦争、武力行使で一番分かり難
いのが、「何のための戦争、誰のための戦争」と言うことです。私も子供から「ど
うして戦争するの?」と質問されても、充分に説明することができません。
 勿論説明できるからと言って、戦争が正当化されるわけではありませんが。

 アメリカ・ブッシュ政権が主張する「武装解除、政権交代が世界に安全と平和を
もたらす」「危険の可能性を排除する」についてもやはり釈然としないところがあ
ります。徐々に戦火が拡大するにつれ、やはり犠牲者が増えていきます。

 ただ、事実として武力行使を支持する人、支持しない人がそれぞれ存在すること
は確かです。それぞれの立場の人が、それぞれの想いを持って、それぞれの意見を
主張しています。2つの価値観は相容れることができないのでしょうか?

 「正義」という言葉が勝手に解釈され、一人歩きしているような気がします。価
値観の違いはどこにでもあります。人材開発、人材育成の現場では、多様な価値観
の存在を認識し、受け入れることが大事だと言っています。しかし実際は、自らの
価値観を押し通すために、異なる価値観を拒絶することが始まります。相容れない
価値観がぶつかりあうことで、憎悪や攻撃が生まれていきます。程度の違いはあれ、
知らない間に自分の身の回りでもそういうことは起きているのかも知れません。

 国連の決議が回避されたことも残念に思われます。コンセンサスが得ることがで
きないと予測されると、放棄し、強引に自らの主張を貫いていく、正当化するため
の材料だけを集めていることが正しいのでしょうか?これも程度の違いはあれ、多
くの人が平和的手段による解決を望んでいたと思われます。「平和的手段による解
決」そのためのコンセンサスを深める時間がもっとあっても良かったのではないで
しょうか?

 やはり正しい戦争は無いと思います。小さい頃から戦争は駄目だと教わってきた
ような気がします。いつの時代においても戦争が無くならないことを考えると、戦
争は駄目だと言うことも綺麗ごとに過ぎないのかもしれません。
 別に私は反戦運動をやっているわけではありませんが、一日も早くこの武力行使
が終わることを祈っています。ただ早期に終結したとしても、異なる価値観が存在
し続けることは間違いありません。終わることが無い「異なる価値観との協調努力」
を忘れてはいけないような気がします。


             (2003/03/24 人材開発メールニュース第229号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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