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リーダーは理想的現実主義者で
 今年も残り少なくなりました。相変わらず企業経営を取り巻く環境は不透明な要
素が多く、人材開発を担当する方々からも益々環境が厳しくなっているという声も
聞きます。その一方で、どの企業においても先が見えないだけに、事業に変化を与
える、力強く推進するリーダーを待望する声を様々なところから聞く事ができます。

 リーダーの人物像を考える際に一つの切り口として、現実的理想主義者という考
え方があります。理想主義者(idealist)でもなく現実主義者(realist)でなく、
両者のバランスを持った現実的理想主義者という考え方です。

 恐らく経営者、トップに近ければ近いほど、理想主義的な色合いが強くなると思
います、逆に現場においては、より現実主義的な色合いが強くなると言えます。た
だし、事業の変化を与える、推進していくリーダーには両者をバランス良く持った
現実的理想主義者であることが要求されています。理想主義的色合いが強いトップ
に対しては、理想に向けて進めていくための階段を示すようなアプローチが必要で
あり、逆に現実主義的な色合いが強い現場に対しては、メンバーに対して明確な目
標を指し示すことで、モチベーションを高めるアプローチが期待されています。

 ビジネスリーダーとして期待されるいわゆる管理者の方々も、企業によっては理
想主義的な方が多かったり、現実主義的な方が多かったりします。どちらかと言え
ば、過去をベースに考える現実主義的な方も多いような気がしますが…。(みなさ
んの周りはどちらが多いですか?)どちらが多い、少ないというのも企業風土、文
化を感じることが多いですね。
 リーダーが必要だ、また今回のような現実的理想主義者が必要だと言う話題は良
く出されますが、全員がそうである必要は無いと言えます。企業、組織においては
理想主義者、現実主義者、現実的理想主義者全てが必要であると言えます。全体の
中で、期待される役割において、それぞれが必要であると言えます。

 全体のバランスを考えると、トップ、ミドル、ロワーにそれぞれ理想主義、現実
的理想主義、現実主義がバランス良く存在し、それぞれの役割を遂行している組織
は、やはり活発な組織が多いように思えます。トップが現実主義的な発想だけをし
ていては、困難な局面になればなるほど、打開策が見出せていないような感じを受
けます。逆に以前コラムで取り上げましたが、現場に戦略家ばかりいても全く前に
進めないという状況も多いようです。
 みなさんの組織でも、トップ、ミドル、ロワーという切り口でそれぞれどう言う
人材が多いかと言うことを見直すと、組織として改善すべき点が見えてくるのでは
ないでしょうか?やはり、現実的理想主義者の育成が一番が重要だと言う意見が多
いような気もしますが、全体のバランスの中で考えなければ、現実的理想主義者の
出現も期待できないような気がします。
 現実的理想主義者と言われる方が皆さんの周りにはいらっしゃるでしょうか?


             (2002/12/09 人材開発メールニュース第215号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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