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研修の見直し−ロジックを見直そう!?
 年々時間が経過するのが早くなっている気がしますが、また年末が近づくにつれ、
来期の教育計画策定や個別の研修プログラムの見直しと言った話を聞くことが増え
てきました。
 何らかの研修を実施し、時にはイメージと違い、残念ながら上手く成果が上がら
なかったケースもあるかと思います。当然その場合は、研修のプログラム(コンテ
ンツ)がまず見直されます。進め方は?講師は?資料は?色々な項目を挙げて見直
しが進められ、中にはあっさりと上手く行かなかったので、充分な振り返りもしな
いまま、来年以降は中止と決めてしまうところもまだまだ多いようです。

 社内研修の企画・運営に限ったことではありませんが、やはり失敗例の中に様々
なヒントが隠されていると言えます。当然上手く行かなかったケースの原因究明は
重要であり、前述のような研修プログラム(コンテンツ)がチェックだけでなく、
その研修プログラムが実施されることに到ったロジックそのものを再度見なおすこ
とも必要です。

 ロジックというのは、研修が実施されることに到った考え方や背景と言われるも
のです。どんな研修でもいきなり研修をやろうという話が出てくるわけではなく、
何らかのきっかけ(課題)があって、方法として研修が企画・運営される流れにな
っています。最初のきっかけから具体的に実施された方法までの流れを、私はロジ
ックという言い方をしています。(コンセプトや仮説と言われることもあります。)
ロジックはかなり意識して組み立てられることもあれば、無意識的に組み立てられ
ることもあります。

 例えば、「入社1年目の社員が例年より業務の習熟度が遅れている」と言う課題
が現れたときに、「新入社員にもう一度社会人としての心構えや仕事の基本的な流
れを教えよう」というロジックが展開され、研修を実施したがあまり効果が出なか
った。このケースでは、課題は「業務の習熟が遅れている」ということであり、業
務の習熟を進めるためには新入社員を研修するのはなく、むしろ新入社員の指導に
あたっている先輩社員に仕事の教え方を研修した方が、効果があったのかもしれま
せん。
 また、会社や職場全体の状況を見たときに、業務量が例年以上に多く、先輩社員
が教える余裕も無いのかもしれません。また場合によっては、会社・組織としても
先輩社員に要求していることは、後輩の育成よりも、目の前の仕事を確実に終わら
せることかもしれません。その場合は、新人の育成方法を全てを見直すような必要
があるかもしれません。また研修という方法論そのものが現在の会社、ニーズにマ
ッチしていないのかもしれません。もっと違う方法が必要なのかもしれません。

 前述の通り、研修が上手く行かなかった場合、研修の中身を見直すことも勿論必
要ですが、研修を企画・実施するロジックも見直す必要があると言えます。益々、
企業内研修にも戦略性が要求される、また人事戦略ではなく戦略人事が必要だと言
われる時代においては、企業の人材開発部門には、周囲に対して説明できる、納得
性が高いロジックの組み立てが要求されるはずです。
 度々コラムでも掲載していますが、「どんな研修を企画実施するか」と言うこと
よりも「何故研修を企画実施するか」と言うことに対する説明が要求されていると
言えます。


             (2002/11/25 人材開発メールニュース第213号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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