Back Number 「研修サービス市場調査」を見て 今週の人材開発ニュースにも掲載していますが、このたび株式会社矢野経済研究 所より「企業向け研修サービス市場の実態と展望 2002」が発表されました。研修 サービス市場については、具体的な数値結果として報告される機会は少ないので、 貴重な調査結果ではないでしょうか。 調査結果のサマリーは下記の通りです。 ★現状、企業向け研修サービスの推定市場規模は約6,000億円。 ★公開プログラム、通信教育需要は減少傾向。 ★人材開発システムと結びついたソリューション型研修やeラーニング需要の伸び で2005年の市場は6,400億円規模に。 ★ITベンダー認定資格講座、高度なマネージメントスキル育成研修は需要増。 ★上場企業は階層別集合研修を依然として重視。 ★eラーニング、人材開発システムの導入には模様眺めの企業が多い。 ★上場企業の年間研修予算の平均は従業員1人あたり約39,000円。特に金融、 製薬メーカーで戦略的、重点的な教育投資の傾向が顕著。 ※詳細は下記URLを参照願います。 http://www.yano.co.jp/press/2002/020719.htm 現在の研修サービス市場は約6,000億円という結果ですが、個人的にはもう 少し市場規模は大きいのではないかと思われます。コンサルティングなどを含め、 どこまでを研修サービスとして捉えるかはかなり違いがあると思いますが、私の周 りを見ても、この調査でも報告されていた通り、人事管理システム(HRM)、人 材開発・能力管理(コンピテンシ―マネージメント)支援システムと結びついたソ リューション型のサービスへの期待は高まっているの事実ですし、それに伴って期 間的に長い仕事、案件ベースの受注金額も増えているように思われます。 研修という単発商品だけでは、企業のニーズに充分応えられなくなりつつあり、 人事管理や人材開発戦略などと連携を取る、複合商品としての研修サービスが期待 されていると言えます。 またこの調査では、研修を事業として実施している事業者の分類をまとめていま すが、改めて研修事業を提供する事業者の多様化が進んでいると実感しました。特 にITベンダー系の事業者の数および市場規模は順調に伸びています。今後も大き な市場が期待されるe−ラーニングも含め、研修市場全体の中で、どのような伸び を示すかは非常に興味が持たれるところです。個人的には、e−ラーニングにおい てもただ単に書籍で提供していたものがデジタルコンテンツで置き換わったという レベルは苦戦すると思っています。(実際に今現在も苦戦しているようですが…) 他の研修サービス事業者と同様にどの程度、人事管理や人材開発の仕組みづくりに 影響を与えるようなサービスを提供するかがポイントになるかと思われます。 現在どの業界でも、業界一律に悪いと言うよりも、業界の中でも良い企業と悪い 企業のすみわけが進んでいます。研修サービス業界も同様のことが言えると思われ ます。顧客のニーズに併せて、研修サービスを提供する事業者も益々多様化してい くと考えられます。今後も様々な商品・サービスが開発されていくと思われますが、 どういう分野に強いとか、規模の大小に関係無く、(ただ単に商品を提供するだけ でなく)企業の人事管理、人材開発の機能を強化・促進できるような仕組み(シス テム)を提供できるサービスを提供する事業者でなければ生き残りが難しいと思わ れます。 私共の「人材開発ネット★情報BOX」も、小さな小さなサイトですが人材開発 サービス事業者の方々の情報発信機能の一部に貢献し、市場全体の拡大に少しでも 貢献できるといいのですが…。 (2002/07/22 人材開発メールニュース第196号掲載) WISEPROJECT:吉次 潤 Go to Back Number Index Go to Top Page |