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ワールドカップがもたらす底上げ
 いよいよワールドカップがはじまり、毎日盛り上がってますね。そういう私も中
学校の3年間はサッカー部に所属し、弱小チームではありますが、とりあえずサッ
カーをしてました。当時を思い起こせば、丁度1982年のスペイン大会が開催され、
ロッシ、リトバルスキー、プラティニ、ジーコなどが活躍していた頃ですが、ワー
ルドカップといってもサッカー部内で話題になる程度で、日本がワールドカップに
出場すること、日本でワールドカップが開催されている状況を見ると、隔世の感を
覚えます。

 日本のサッカーのレベルは確実に上がっていると思います。私は専門家でありま
せんのでトップで活躍している選手たちがどれほど優れているかはわかりませんが、
最近の中学生、高校生のサッカーの試合を見ますと、自分たちの頃と比べると、と
んでもなく上手いことだけは良くわかります。サッカーの底辺が拡大されていると
言うことがはっきりわかります。

 Jリーグ(Jリーグの運営が順調かどうかはわかりませんが)の発足以来、サッ
カーに対する関心は高まり、今回のワールドカップ開催で、サッカーをしている人、
していない人にかかわらず、国民全体のサッカーに対する知識の総量は間違いなく
増えていると言えます。関心が高まる中で、環境が整備され、さらに関心が高まっ
ていくと言う状況にあるのが今現在の日本のサッカー界と言えるでしょう。(昔話
で恐縮ですが、当時はサッカー指導者の絶対数も少なく、それこそ芝のグラウンド
で試合をできることが憧れでもありました。)また将来を考えます、今現在ワール
ドカップを生で体感している、子供たちがこれからどんな活躍をしてくれるかと言
うことは非常に楽しみでもあります。

 少し人材開発的な話にこじつけますと、今現在多くの企業で「選抜・選択型」の
教育を実施し、戦略を推進していく核となる人材育成の必要性が叫ばれています。
これは間違ったことではありませんが、どのくらい優秀な人材が育成できるかとい
うアウトプットを決めるのは、どのくらい底辺が拡大しているか、全体の底上げが
できているかと言うことに大きく影響がされると思われます。会社全体の知識の総
量が増えれば増えるほど、そこから優秀な人材が生まれてくる可能性は高くなると
言えます。

 「選抜・選択型」のリーダー育成的な話題に注目が集まる中で、逆に全体の底上
げがおろそかになっているケースもあるのではないでしょうか。優秀な選手(リー
ダー)は突然現れるものでなく、様々な過程を経て必然的に生まれてくるものだと
思われます。
 個人のレベルアップが全体の底上げにつながりますが、現在個人のレベルアップ
は、個々人の責任においてやるべきものだと考え方が広がっています。私も全社員
を対象に教育を、研修にお金をつかうべきだ、ということを言うつもりはありませ
ん。ただし、直接全社員に研修などを実施する以外にも、環境を整備する方法はた
くさんあると言えます。
 例えば、個々人の責任においてやるべきだという考え方をより浸透させる方法を
考えたり、個々人が自分自身でなにかレベルアップしたいと考えたときにサポート
できるような情報を流すなど、個々人が何らかの知識を獲得する主体的を取り組み
を促す環境を整備する方法は、お金をかけなくても様々な創意工夫の中で生み出す
ことが可能であると言えます。

 戦略を推進するための人(知識)づくりは人材開発部門の使命であると言えます。
そのために企業全体の知識の総量をどのように増やしていくか、企業全体の知識総
量のマネジメントは今後の人材開発部門の大きな役割になると言えます。

 ワールドカップが気になり、仕事が手につかない方も多いのではないかと思いま
すが、折角の機会ですからみんなで盛り上がりましょう!
「ガンバレ!NIPPON!」


             (2002/06/10 人材開発メールニュース第190号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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