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教育営業担当者が考える面白み?
 先日、教育機関の営業担当者の方々数人と会食する機会がありました。
 集まったメンバーは、会社もそれぞれ違いますし、主に取り扱っている商品(研
修や教育プログラム)も様々という珍しい会合でした。私もサラリーマン時代は同
じ立場で仕事をしていたこともあり、懐かしさを感じつつも最近の教育営業の現場
の話を聞くことができ、非常に有意義な時間でした。

 時間が経過するとともに、少しずつ本音トークが始まる中で、特に盛り上がった
のは、教育を営業する立場から考えた場合、面白いクライアント(企業、団体)と
そうでないクライアントの違いはどこにあるかという話でした。※実際はクライア
ント名を実名で話しているため、かなり盛り上がります。

 営業をやっていて面白いというよりも、面白くないクライアントに共通するのは、
すぐに他社事例を聞いてくるケースだというのが圧倒的に多い意見でした。まだま
だ多くのクライアントが他社事例、例えば「どこの会社で導入しているか?」を聞
いてくることが多いと言ってました。営業担当者としては、どこの会社でこんな形
でやってますという事例を提示したり、他社に提出した企画書をそっくりそのまま
提出して、結果それで導入してもらえれば、楽なのは間違いありません(数字に追
われている営業担当者の本音でもあります)。営業として数字の達成感はあります
が、逆にいえば、教育研修という仕事としての面白み、達成感はあまり感じられな
いので面白くないという意見でした。余談ですが、このような場合は受注が単発で
終わることがほとんどです。

 逆に営業で面白いのは、研修プログラムなどを提案したときに、「うちの会社に
なぜこのプログラムを提案したのか、どのように役立つか」という点をしつこく?
厳しく?聞いてくるケースと言うのも共通した意見でした。
 別に珍しい問いかけでは無いのですが、他社事例を聞いてくる企業が多い中で、
このような切り口で聞いてくる企業(教育部門)に遭遇した場合、営業担当者は相
手先企業への理解不足など準備不足のことがしばしばで、結構焦ることが多いのが
事実です。当然こういう場合、何度も何度も企画書を出しては、情報収集を図り、
また再提出することになります。営業という視点から考えれば、一つの研修プログ
ラムの売上を計上するまでの準備時間は増え、営業コストも高くなり、利益率も当
然低くなります。ただ同じ数字を上げるにしても面白み、達成感は大きい、いわゆ
る「仕事をした」という思いが実感できると言ってました。(勿論、途中で「いい
加減にしてくれ」という投げ出したい気持ちになる場合もあるようですが...)

 クライアントである企業の情報をたくさん集め、相手の状況に応じて提案したプ
ログラム、それは実際に営業が苦労して導入したプログラムでもありますが、そう
いったプログラムは、企業と教育機関双方の色々な創意工夫が詰まっているため、
プログラムの質も高まり、企業側の満足度も高くなるのは当然のことです。
 またうまく表現できないのですが、クライアントと何度もやりとりする中で、共
有する情報が増えれば増えるほど、企業の教育部門と教育機関(営業担当者)の双
方ともにレベルアップしている感覚を知覚できることがあります。双方がレベルア
ップしていることを知覚できるケースこそ、理想型であると言えます。

 ただ、逆にいえばまだまだ教育営業の現場では、この素朴な質問「そのプログラ
ムをなぜわが社に提案するのか?、どのように役立つか?」が交わされる機会が少
ないということを物語っているとも言えます。
 企業の教育担当の方々は、教育機関の営業担当者が訪問されたときに、導入する
しないに限らず、まずこの質問を投げかけてみてください。その質問に対する回答
や対応で、様々なことが見えてくるのではないでしょうか。


             (2002/03/25 人材開発メールニュース第180号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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