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成果主義への期待?
 最近多くの企業で、成果主義を見なおす動きが出てきているようです。しか
し、一方で20代、30代の社員を中心に成果主義を求めるニーズは強いのも
事実です。このギャップはどうして生まれているのでしょうか?

 成果主義とは、一般的に社員が上司と相談の上、目標を決め、目標の達成度
合いに応じて処遇と報酬を決めるものです。現在経営サイドで成果主義が見直
される動きが見られるのは、成果を追求するあまりに目標設定が低いレベルで
行われる、失敗を恐れずにチャレンジする機会が減っている、特にミドルマネ
ジャーにおいて自分自身の成果を追求するためにプレイングマネジャーとして
業務を遂行するケースが増え、結果として部下の裁量権が少なくなったり、部
下育成が行いにくい状況にある、などのことが指摘されています。
 換言すれば、制度の問題と言うより、運用の問題であり、経営サイドと現場
サイドとのコミュニケーションの問題でもあると考えられます。

 成果主義に限ったことではありませんが、様々な人材開発諸施策が導入され
るのは、あくまでも手段です。経営目標や経営戦略を達成するために、人的資
源のパフォーマンスを最大限に引き出せるかということが目的が前提にあるこ
とは言うまでもありません。
 しかし、現在の経営サイドから出される見直しを求める声や若手の社員から
導入を求める声の中には、目的と手段が混同しているケースもあるような気が
します。成果主義が導入されれば、良くなる、何とかなる…という発想では、
やはり上手く運用されることは期待できません。

 経営サイドから考えれば、評価システムを構築する場面において、万人が満
足する評価は絶対存在しないということを前提としながらも、できる限り多く
人が満足するものに近づけようと不断の努力をすることが大切です。そう言う
意味では、評価制度を絶えず変化させることも必要なりますし、名目はどうで
あれ、現時点で目的を達成する手段として何が必要かという視点が大切になり
ます。経営サイドが期待することをできるだけ正しく伝える、また、従業員が
評価して欲しい点は何か、期待する報酬、処遇は何かと言う従業員ニーズを汲
み取ることが必要です。

 一方従業員サイドで考えますと、自分自身の仕事の成果をただ主張するだけ
ではなく、経営目標や経営戦略にどのように貢献できたかという視点から自身
の仕事の成果に理解を得られるような働きかけが必要になるかと思われます。
成果主義は経営サイドから与えられるものではなく、自分自身で経営サイドに
情報をフィードバックすることで、作り上げると言う発想が必要になるかと思
われます。短期的な視点にとらわれず、自らのキャリアをどう表現するかとい
うことは、今後のビジネスマンにとって大切な一つのスキルになるかと思われ
ます。


             (2001/07/23 人材開発メールニュース第147号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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