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新入社員研修の動向
 新入社員研修は、社会人への意識変革をはかり、職場生活の基本行動を習得
させることを目的とした基本研修と、OJTなどを含めた実務研修で構成され
ることがほとんどです。
 以前は、基本研修にかなり時間をかけるケースもありましたが、最近はでき
るだけ早く即戦力化を図りたいということもあり、実務研修のウエイトが増え
る傾向にあります。また採用人数の絞込みにより、入社人数の減少が目立ち、
基本研修の運営方法を変更せざるを得ないケースも増えています。

 企業内の教育担当者の方とお話をすると、実務研修は、各企業で様々なやり
方が実施されていますし、また比較的新しい試みについても案に困ることは少
ないのですが、基本研修については必要最低限のことは、入社時期の段階でト
レーニングしておきたいと考えながらも、採用人数、研修対象者が増減するこ
とにより、運営方法に苦労されることも多いようです。(運営方法を変えなけ
ればいけない、変えたけどあまりうまくいかなかった、変えなければいけない
と思いながらも変えないまま実施してしまった…と言う感じでしょうか。)

 基本研修の方法を実施主体(誰が行うか)から見ると、主に3つのものがあ
ります。社内講師、外部の公開セミナーへの派遣、外部講師を招くという3つ
です。最近は対象人数が少なくなったり、またできるだけコストを抑えたいと
いうこともあり社内講師で実施するケースや社内講師が担当する時間が増える
ことが多くなっています。
 外部を利用して新入社員研修を進めていた企業から、社内講師や内部の資源
を利用する方法に切り替える際に相談を受けることがありますが、私の場合で
きるだけ社内講師でやってみては、とお答えしています。一度は社内でやって
みて、うまく行かなかった部分を外部を利用する方法を検討することも一つの
方法ではないかと思います。少々乱暴かもしれませんが、実際に経験して初め
て、社内で実施すべきことと外部を利用することが有効なことが見えてくるの
ではないでしょうか。
 私の周りでは、一度できるだけ社内で実施し、翌年に内容を絞って外部の利
用を再開した結果、以前より新入社員研修のレベルアップができたいう企業も
あります。また、そのような企業のご担当者から出される意見で共通するのは、
社内と外部を分ける基準として、「社会人への意識の切り替え」は社内と外部
で、「職場生活の基本行動の習得」は社内でという意見が多いようです。

 いずれにせよ、公開セミナーや外部教育機関、講師を利用する場合、丸投げ
というより、目的を絞り込んで使うことがますます必要になるかと思います。
 逆に人材開発サービスを提供する教育機関も、様々な新しい試みを増やして
企業側のニーズに応えようとしています。例えば新入社員の公開コースと言え
ば、従来は2〜3日間のコースが多かったような気がしますが、現在は半日の
コースが企画されたり、またあるテーマに絞り込んで1日だけ実施するコース
も増えてます。またこれからは、集合研修とWBTを組み合わせ長期間にわた
る計画的なトレーニングプログラムの開発も期待されます。
 また外部の利用方法の新しい動きとしては、研修部分の丸投げというよりも、
いわゆるアウトソーシング業務、企画部分からの丸投げという感じの使い方も
増えつつあります。外部の教育機関やコンサルタントが、社内、外部のすみ分
けの部分から提案する、実施レベルでは社内講師のサポートをするなど、あた
かも社内の専門教育スタッフとして利用される動きも増えています。

 全ての人材開発の言えることですが、効率的、効果的なアウトプットを生み
出すためには社内、社外の資源を工夫して利用することが必要になります。そ
の意味で、新入社員研修は、社内と社外の資源をミックスさせる、もっとも手
がつけやすいコンテンツではないでしょうか。


             (2001/03/12 人材開発メールニュース第129号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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