Back Number これからの企業経営と人材開発 今年最初のワンポンイント・アドバイスです。 本年もよろしくお願いいたします。 先日、社団法人経済同友会から『新時代に向けた企業経営〜革新への考察〜』 が発表されました。内容は、これからの企業経営を考える上で、日本企業の現 状と課題、革新に向けた経営者(経営リーダー)の心構え、現在注目を集める 経営革新課題を進める上での具体的な行動の提案、そして最後に経営者のリー ダーシップに対する考え方を整理し、経営者基本姿勢が示されています。 経営の最高責任者、経営の舵取りを行うリーダーである経営者へのメッセー ジという形で発表されたものですが、経営者に限らず、マネジメントを期待さ れる全ての方々に共通するものです。 これからの企業経営、人材開発を考える上で参考になる点が多いと思います ので、抜粋した形で、以下内容を一部紹介させていただきます。 ○これまでの日本企業は、改善の積み重ねによる効率優先の経営システムを徹 底することで、優れた品質と世界に勝るコスト競争力を同時に達成してきた。 ○改善の積み重ねが生み出したベストプラクティスは、ある一定の期間は競争 力を発揮するが、競合企業による徹底したベンチマーキングと技術力の向上に よって、いずれは追いつかれてしまう。 ○企業間における経営スタイルや技術力の違いが希薄化し、事業プロセスだけ でなく市場に提供される製品やサービスまで似通ったものになった。いわば 「同質化競争」と言える状態であり、「企業の顔が見えない横並びの存在」と なっている。「同質化競争」は、必然的に価格引き下げ圧力を強めることにな り、多くの日本企業が収益悪化の負のスパイラルに陥っている。 ○日本企業における今日的な問題は、経営革新に着手していないことでなく、 革新に対する「適切な」処方がとれていないことにある。経営者が明確なビジョ ンをもたずに、闇雲に新しい経営手法を導入してのでは、経営課題とその解決 策にギャップを生じ、結果として効果の出ない経営革新に陥る。 ○グローバル競争に通用する独創的な経営の舵取り〜マネジメントスタイル〜 を早急に確立していかなければならない。すなわち競争の源泉を「効率性の追 求」から「独自性の発揮」へ転換することが必要である。それぞれの企業が強 い「個性」を打ち出して競う合う「個性化競争」への挑戦をスタートすること こそが、日本企業の経営革新のあるべき姿である。 ◇参考資料 社団法人経済同友会 『新時代に向けた企業経営〜革新への考察 〜』 http://www.doyukai.or.jp/database/teigen/001212c.pdf PDF形式 (http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2000/001212a.html 上記リンク先不明にて2015年9月4日追記) ここで指摘された内容は、人材開発の現場でも全く同じことが言えます。 経営レベルで「個性化競争」が問われるようになれば、必然的に人材開発部 門には、「個性化競争」を支える人材の採用、育成、活用、定着が要求され、 人材開発施策にも個性化が要求されるでしょう。 21世紀の企業経営および事業推進において、アイデンティティ(存在意義) は、これまで以上に重要なテーマになると考えられます。 アイデンティティを確立し、個性を打ち出すには、固有の意志が必要です。 昨今の人材開発において、効果が目に見えるもの、即効性があるものに対する ニーズが高まっていますが、人材の成長を図るという視点で考えれば、長期的 な取組も必要になります。長期的な取組も含め、「個性化競争」を支える人材 開発を行うためには、間違いなく確固たる信念が必要です。独自性を発揮して いく上で障壁となるのは、自社内、自部門の考え方、突き詰めれば人材開発に 携わる個々人の考え方であると言えます。逆に言えば、人材開発に携わるメン バーの考え方により、人材開発、企業経営も無限の可能性を持つのではないで しょうか。 (2001/01/15 人材開発メールニュース第121号掲載) WISEPROJECT:吉次 潤 Go to Back Number Index Go to Top Page |