Back Number

IT革命が進む中で
 あらゆるところでIT革命の波が押し寄せる中で、教育部門では「IT化を
進めてくためには何が必要か」また「IT化を推進していくための人材をどの
ように育成するか」ということがお決まりのように話題となっています。これ
だけマスコミを始め、ITという言葉を聞く機会が増えるといささかうんざり
しますが、今回はIT化について、中でも人材育成というよりも少し経営レベ
ルから考えるITのポイントについて考えたいと思います。

 企業や業務プロセスへIT導入を進める中で大事なことは、当たり前のこと
ですが、業務全体を見直すことと言えます。企業においてIT化を進める目的
のひとつは、生産性の向上を図ることです。生産性の向上を図るために業務全
体を見直し、IT化を進め効率化する領域と、「人」が考えて行動する領域を
整理して分けるがまず必要です。
 少し見方を変えると、これだけ様々な業務にITの導入が進むと、ITを導
入せずに「人」がやる仕事の位置づけは、言い換えれば「わざわざ」人がやる
仕事とも言えます。「わざわざ」人がやる仕事は、それなりの理由や意味が必
要になります。したがってIT導入を図る際に最初に考えるべき事は、IT化
を進める領域を見つけることよりも、むしろその会社やその業務においてIT
ではなく「人」、人材=人的資源を投入してやるべきことを整理して決定する
べきことではないでしょうか。

 このような話題になると従来は、どうしてもIT化を図れない領域がある、
例えば企画や思考などの知的生産と言われる領域が存在して、それは何かを考
えることが中心でした。
 加えて今後はITを導入して効率化を進めるにもかかわらず、敢えて効率的
にしない領域を考えるケースも増えると思います。前述の敢えて「人」を投入
するべき領域はどこか、何か、を考えるということです。どこにITを使うか
を考えることより、「わざわざ人がやる仕事」の「わざわざ」の部分を真剣に
考えることが、企業の独自性や差別化を図る要因として今後注目が集まると言
えます。「わざわざ」を真剣に考えることこそ、企業や業務独自のIT化を進
めて行くための近道ではないでしょうか。

 最後に、最近研修を含め私に依頼、相談される仕事においても、プログラム
の一部に「ITに関する内容を入れて欲しい」また「現在のIT革命という環
境を反映した内容にして欲しい」と言われるケースが増えています。そういっ
た話がでる度に、少し意地悪ですが同じ質問をしています。読者の皆様にも考
えてもらえると幸いです。
 その質問とは、「ところで、御社で言われるITって何ですか?」


             (2000/11/20 人材開発メールニュース第114号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


Go to Back Number Index
Go to Top Page