Back Number 階層別研修と役割認識 前回のワンポイントアドバイスで役割認識の考え方について紹介しました。 人材開発=経営戦略を推進する人づくりという考え方をすれば、役割認識を研 修でやるかどうかは別として、人材開発の場面において、役割認識は人材開発 の中枢の一つであると考えます。 今回は前述の考え方をもとに、例えば研修で役割認識を実施する場合の事例 を簡単に紹介したいと思います。 階層別研修で役割認識を行う場合、一番ベーシックな方法は、目標管理で使 われる手法と同様に、会社方針・計画や部門方針・計画に併せて、自身の役割 を書き出すという方法です。進め方に工夫は必要ですが、個人作業→グループ 討議→全体討議などを行うことで、より多くの役割に関する情報を集め、最終 的に自分の重点目標を作るなどの方法が考えられます。オープンセミナー(不 特定多数の外部の方々が集まる公開セミナー)でも役割認識が行われることが ありますが、社内研修と比較すると、やはり効果が出にくいと言えます。 次に考えられるのは、上司や経営幹部の方に事前にアンケートを実施し、社 内で役割や期待される姿に関する簡単なモデルケースを作成し、研修に利用す るという方法もあります。 最も簡単な方法では、例えば事前に研修受講者の上司や経営幹部の方々に現 在期待される能力と言うことで、下記のような項目を提示し優先順位をつけた り、または優先グループ分け(A、B、Cランクをつけるなど)をアンケート として実施いたします。 −項目例− ○企画力 ○独創力 ○問題発見力 ○折衝力 ○業務知識 ○リーダーシップ ○指導力 ○表現力 ○問題解決力 <注>これはあくまでも、例です。 実際の研修で使用する場合は、各項 目ごとにもう少し長い文章として提示いたします。 一般的には能力よりは役割という形で文章を作成します。 併せて優先順位(グループ)をつけた際の理由やコメントなどを情報収集し、 役割に関するケースを作成します。 研修時に参加者に、個人作業やグループ作業で同様なことをやっていただき、 その後で上司や経営幹部の考え方と受講者が出した解の比較検討を行います。 非常に簡単な方法ですが、解の誤差の大小や言葉や文章の捉え方など、方針 が徹底されているかを含め、社内における様々な問題が見えてきます。 できれば、こういうケースの場合は、トップの方からアンケート(情報)を 収集して、実施した方が効果があるのは、言うまでもありません。なぜなら、 その会社での正解は、トップの方のアンケート結果にほかなりません。 方針や目標を徹底するためには、社内に伝えられた方針や目標を理解されて いるかを検証する場面、またより具体的に方針や目標を展開していく場面が必 要になります。そのためには階層別研修も充分に活用することができるのでは ないでしょうか。 (2000/09/25 人材開発メールニュース第106号掲載) WISEPROJECT:吉次 潤 Go to Back Number Index Go to Top Page |