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意味合いを書き換え続ける
 人材開発メールニュース1000号を配信した際にお伝えした通り、本メールニ
ュースは、年内でいったん終了することになりました。終了のお知らせと共に、
いくつかメッセージをいただきました。改めて私たちが発信していたことは、
何らかの形で届いていたんだと実感することができました。

 終了することを決めてからは、昔のワンポイント・アドバイスを読み返しな
がら、色々なことを思い出します。
 初期の頃、下記のようなことを書いてました。

 <ここから>
 人材開発に本気で取り組むためには、人材開発に対する本質的な問いかけが
必要である。
 人材開発や教育は、今まで、やることが当たり前といった風潮が存在する。
教育をやることには、誰も疑問を持たず、むしろどうやるかという、方法論ば
かりに注意が向く傾向にある。例えば、新入社員研修は、ほとんどの企業で実
施されているが、どのようにやるかということに関しては検討されていても、
なぜやるのかということは、あまり検討されていないのではないだろうか。

 経営トップは、経営戦略と人材開発リンクの必要性を、論理的に理解するだ
けでなく、それは自社にとってどんな意味があるのか、本当に必要かという本
質的な問いかけを通じて、トップ自身が人材開発に対する認識や想いを明確に
することが必要である。
 本質的な問いかけを通じて形成された、トップ自身の人材開発に対する想い
は、人材開発ビジョンに反映され、以後、組織として人材開発を推進していく
ための、重要なモチベーションとなる。
 <ここまで>

 30代前半に記した文章は、やや背伸び感があります(笑)。今でも変わらない
部分もあれば、経験も踏まえ少し書き換えたいと感じるところもあります。ま
た同じ言葉・フレーズを使いながらも、その意味合いがキャリアを積み重ねる
中で少しずつ変化していることもあります。しかし、この変化の部分について
は、本人は分かっていながらも、周囲にわかりにくいことがほとんどです。大
切な言葉・フレーズに関しては、丁寧に伝えていくことが、人材開発・組織開
発の現場でも必要です。

 実際現場で意識改革・意識変革が必要だと言われますが、改革・変革を進め
ていくためには、先ず言葉の持つ意味合いを変える、再定義することをお勧め
します。例えば、残業を削減する前に、そもそも残業とは何かをもう一度定義
づける方法です。メンバーによって意味合いが異なるとなかなか進まない、逆
に意味合いが揃うと新たなアイデアが生まれることはよくあることです。

 ヒトとヒトが集まって組織を形成する上で、よりよい関係性を構築していく
ためには、絶えず意味合いを書き換えていく(確認していく)ことが必要です。
ヒトとヒトの間に生まれる機会と脅威をどう書き換えていくか、人材開発・組
織開発に求められる課題ではないでしょうか。


             (2018/12/10 人材開発メールニュース第1002号掲載)
                          humanize:吉次 潤


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