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リーダーシップについて
 リーダーシップ=対人影響力という考え方があります。
リーダーがメンバーに働きかけ、その結果リーダーの考えを受け入れたメンバー
が実際に行動を起こすと言う考え方です。メンバーの受容、メンバーがどの程
度リーダーの考え方を納得して受容したか、受容の度合いが積極性や自主性に
大きな影響を与えます。
 リーダーシップは、時として、強引に引っ張っることだ大事だ、そのために
は部下を叱咤激励して...、などと考えられがちですが、より重要なのは、
形はどうであれ相手が受け入れたかどうかと言うことになります。「指示は頻
繁に出している、細かく出している、だが指示通りに動かない」など言われる
ケースでは、メンバー側から見ると、指示、言葉は聞いているが、本質的な意
味、考え方は受容できていないためです。
 また、メンバーの受容の度合いを意識せずに強引に引っ張る場合、短期的、
瞬間的に有効であっても長続きしない、また結果として組織全体のモチベーショ
ンが低下することを招くケースもあります。
 最近では、コミットメントという言葉が頻繁に使われるようになりました。
コミットメントとは、組織や上司から出された考え方、方針、目標などに心か
ら共感し、共感したものに対し、自ら働きかける、行動する姿勢のことです。
上司からの指示、上司への相談する時に、上司が話す内容を言葉の上で理解す
るだけではなく、言葉に込められた意味や想いに共感を覚え、自ら動き出すこ
とができるということがポイントになります。コミットメントを生み出す働き
かけが大事になります。

 それでは、リーダーシップというものは、どのようにして開発することがで
きるのでしょうか?
 リーダーシップは、先天的なもの、また生い立ち等の環境により形成される
部分があるのは、否定できません。これから身につけるという視点で考えれば、
2つのことが考えられます。1つは知識として身につけること、もう1つは体
験として身につけることです。

 知識ベースで考えれば、前述の通り、リーダーシップは対人影響力であり、
いかに受容されるかがポイントです。受容する相手の状態に応じて働きかけを
考え、実践することで受容の度合いは高まります。そのためには、リーダーシッ
プに関するこれまでの様々な研究成果や理論などを理解することは、ひとつの
大事な手段です。
 知識を身につけることも勿論大事ですが、より大事なのは、経験や環境を作
ることです。「エンパワーメント」も同様ですが、任せることによって本人の
主体性、創造性を発揮させるということです。方向付け、予測、自信を持って
行動することの裏付けとなるのは経験です。経験を積むことで、方向付けや予
測また想定外の問題への対処など、どの場面においても意思決定を行う際の精
度が上がります。そのためには、意図的にリーダーシップを発揮してもらう機
会を作ることも必要になります。
 人は仕事を通じて成長すべきものです。逆の言い方をすれば、経験しても成
長につながらない仕事、環境であれば、人に対するアプローチより先に仕事の
仕組みを見直すことや風土や環境を見直す必要があると言えます。


             (2000/03/20 人材開発メールニュース第81号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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