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能力開発給付金について
 人材育成を効果的に行うことは、人材育成投資を効果的に行うことでもあり
ます。そのためには、各種公的援助・助成制度を活用することも必要になりま
す。

▼生涯能力開発給付金の制度概要
  → http://www.mol.go.jp/topics/seido/etc/antei/text19.htm

 今回は、企業内教育に利用できる公的援助・助成制度で、最もポピュラーな
「生涯能力開発給付金」、特に能力開発給付金の申請、給付時の注意点につい
て紹介いたします。

○趣旨
 事業主(企業)が雇用する労働者を対象として、その職業生活の全期間を通
じ段階的・体系的に行われる計画的な教育訓練(研修)を実施した場合、運営
費・受講料や受講中に支払った賃金等の一部を国が助成する制度で、企業の人
材育成と労働者の職業能力の開発向上を図ることを目的としています。
 ここでポイントになるのは、「段階的・体系的」ということですが、つまり
職務遂行能力の現状レベルから見て今後職能開発を行っていく上で、2種類以
上の訓練コースの計画があることが必要になります。

○種類
 生涯能力開発給付金は、社名による教育訓練を助成する「能力開発給付金」
と従業員の自らの申出による教育訓練を助成する「自己啓発給付金」の2種類
があります。企業の教育スタッフの立場では、能力開発給付金を利用する機会
が多いため、能力開発給付金について主に紹介していきます。

○助成の対象となる教育・訓練
 能力開発給付金では、研修の種類と企業規模に受講対象者の年齢範囲が定め
られています。研修の種類とは、1.配置転換等により新たな職務に就かせる
ために必要な職業訓練、2.専門的な知識又は技能を習得させるために必要な
職業訓練、3.技術の進歩等に対する適応性の増大のために必要な職業訓練、
4.定年退職後の再就職の円滑化等のために必要な職業訓練の4つのことです。
また受講者の年齢は、受講開始日において判断することになってます。

 またさらに以下ような留意点があります。
A.社内集合研修の場合
(1)対象となる研修期間は原則として1コース延べ10時間以上であること。
(例外あり)。
(2)マンツーマン研修ではなく、二人以上の集合研修であること。
(3)研修に付随する見学や、図書紹介などは総研修時間の3分の1以下にす
ること。
(4)観光、ゴルフ、娯楽等、研修と関係ないものを研修コースに含めないこ
と。
(5)研修経費はすべて事業主が負担すること。

B.社外派遣研修の場合
(1)派遣先の教育・研修施設のカリキュラムに従って研修を修了すること。
(2)社内集合研修同様、受講料、教材費等はすべて事業主が負担すること。

C.賃金助成を受ける場合
(1)その日の研修時間の3分の2以上が所定労働時間内であること。
(2)研修期間中の賃金が下がらないこと。
(3)研修のあった日に超過勤務を含めて仕事についていないこと。
(4)休日に研修を実施した場合は「振替休日」を与えること。
(5)企業内で実施した場合は、対象となる受講者が研修日数の80%以上出
席していること。
(6)研修を受講しない日、予習日、復習日、移動日等の賃金は支給されない。

○支給対象人員枠
 能力開発給付金の申請については、1事業所あたり300人を限度とします。


             (2000/01/17 人材開発メールニュース第72号掲載)
                         WISEPROJECT:吉次 潤


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